リビングの様子1

~ ある一軒のリフォームから見た住まいへの欲求 ~

1.はじめに
今回この小冊子を作ろうと思ったきっかけは、建設会社に勤める自分自身が我が家のリフォームをこの5月に計画し7月に無事完成し知人等たくさんの人に見てもらったことによります。
たくさんの来訪者の人に共通していた面白い共通点、一つ一つをつなぎ合わせることによって、住まいとしての住宅の果たす役割の大きさに驚嘆しました。そしてそれをうまく利用すればさらに円満な家庭を築くことも可能なのではないかと思えるようになって来ました。
そして実際のリフォームを体験して分かった大変さ、楽しさ、ワクワク感を余すところなく皆さんにご紹介できればと思います。

2.リフォームへのきっかけ
築34年、外壁のしっくいもすっかり変色、中も昔ながらの間取り、そして使い勝手が悪く何となく違和感を持って生活していました。そんな時、家族からの要望もありリフォームをする決意をしました。そしてこの経験を通してお客様の気持ちを自分自身で体験することができ本当に良かったと思います。

3.まずはゴミから
いざリフォームを始めようと思うと、家中に昔からしまい込んであって不要なものが山ほどあり、まずは必要なものとゴミとなるものを分別し処分しました。なんと4トンのコンテナに一杯になってしまいました。リフォームの第一ラウンドはゴミとの戦いでした。本当に大変でした。34年分のゴミですからすさまじいです。そしてタンス等家財道具の移動、家族中でワイワイ言いながら行いました。幸いにも一時保管できるスペースがあったので生活ができましたが、そうでなければ生活に支障が来たさないように入念な計画・準備が必要です。特に炊事・トイレ・お風呂は入念に対策を取っておく必要があると実感しました。

4.解体は自分で始めたものの・・・・ねずみのふんに絶句!!
少しでも自分できることは自分でしようと5月の連休を全部使って解体を始めました。天井を落としてみると数センチに積もったほこりとねずみのふんが一気に落ちてきて一寸先も見えない状況。34年という歴史の永さを改めて感じると共に天井裏が不衛生で、そこに向かって口を開けて寝ていたことが恐ろしく感じました。目に見えないところに病気の原因となるような環境が存在していることを知りました。
今は解体材も全部分別しなければなりませんのでつくづく解体は面倒で大変だと実感し、とても素人に容易にできるものではないと思いました。3部屋分を解体し、すっかり疲れきってしまいました。やはりプロに任せた方が良かったです。

5.大工さんが入りいよいよリフォーム開始
私が必死で頑張った解体も大工さんにはまだまだ不足だったようでさらなる解体が始まりました。そして骨だけになった大空間が出現しました。そしてそこから当初の計画にない様々な展開が始まりました。正にそれは驚きの演出への始まりでした。やはり大工さんはこちらの意見を取り入れてプロの目から可能性を追求し住む人の希望を可能な限りかなえてくれる人、そしていろいろなアイデアを持った人が絶対に良いですね。現場監督者と一緒に知恵を絞り思いも寄らない発想を出してくれ、常に勉強し新しいことに挑戦をし続ける大工さんに今回出会うことができました。リフォームのひとつの醍醐味は壊してみなければ分からない、開けてびっくり、こんな空間があったなんてという発見からどんどん発想が広がってきます。この広がりがワクワク感につながり要求以上の感動が生まれます。新築では味わえない感覚だと思います。リフォーム番組が未だに飽きられずに続いているのはこのアレンジの妙にあると思います。人はそんな感動を常に求めていることが分かります。確かに予想していないものができる意外性は感動につながりますよね。

6.結構リフォームは時間がかかるしストレスだ
当初は1ヶ月間ぐらいで終わるのかなと安易に考えていましたが結局2ヶ月間もかかってしまいました。いろいろ途中で変更を加えたこともありますが、生活に支障がある状態でのリフォーム、いくら楽しみにしているとはいえ精神的には結構大変です。家族の中に多少不満の声も出てきました。人間って本当に弱いですね。難しいものです。季節がまだおだやかだったから良かったですが、寒い時期・暑い時期にやっていたらさらに負担は大きかったと思います。そして、新築・リフォームに限らず家族にとってはある程度ストレスがたまるので、体力的にも、精神的にも余裕のある時にした方がベストだと思いました。それから持病を持った者が家族にいると結構気を使う必要があります。我が家にも喘息の持病を持った小学生の子供がいますが、最初の解体前から部屋にテープで目張りして、いつもマスクをして対策をしていましたが軽い喘息が出て心配しました。幸いにもすぐ回復しましたがやはりリフォームには十分な健康対策も必要だと感じました。

7.いろいろな試練を乗り越えて・・・完成!!
いろいろな問題もありましたが2ヶ月経ち、いよいよ我が家のリフォームが終了しました。とにかく空間を最大限利用し様々な工夫を凝らし満足のいく我が家が完成しました。ではこれから来訪者の率直な感想も含めながらご紹介していきたいと思います。古風な純和風住宅から変貌を遂げた姿を是非見ていただきたいと思います。
なお最初にお断りしますが、当初はこんな形でご紹介する予定は全くなかったのでリフォーム以前の写真は一切ありません。実は当初はそこまで期待をせずに始めたのが正直な気持ちです。工事を進めていくうちにどんどん欲求が高まってきたのが現実でした。

8.人は広い空間にあこがれ、癒される

可動式クローゼット

リビングは縁側を潰して12畳に広げました。床はヒノキのむく材、壁は健康材料の珪藻土を使用しているので新建材の刺激臭は当然しません。広い部屋でソファーに腰掛けゆったりとした気分でくつろいでいるとホッとします。来訪者の方でここに腰を降ろしたまま『自分の家に帰りたくない!!』と叫んだ人が何人もいました。広い空間は人間にとって心が解き放たれる非常に貴重な癒される場所であることが分かりました。飾り等は最小限にし、シンプルにまとめることによってより空間が強調されて良かったと思います。一室でもいいからこんな空間があると自然と家族が集まってくると思います。

収納スペース例

前図の可動式クローゼット、普段は締め切った状態だと部屋として使え、必要な時に取手を引くと大容量の四つの収納が現れます。一つでタンス一つ分より多くの洋服等を収納できる上に洋服が全部見渡すことができますので探しやすく、整理もしやすいです。ですからタンスが要らなくなりました。

リビングの様子2

この台所の作り付けの収納棚も大人気でした。それは食器類が出しやすく、片付けやすいからでした。一箇所にまとまっていると本当に便利ですし、天井一杯まで空間を最大限利用できるのが大きなメリットです。
主婦にとって一日の内とても長くいる台所が雑然としていたら最悪です。自分の城をしっかりと整えたい心理の現われだと思います。 ・・・リフォーム体験記NO.2へつづく